資料集第2弾が完成 明治以前の貴重な記録掲載 伊仙町

2024年04月03日

芸能・文化

完成した資料集を手にする(前列右から)大久保明伊仙町長、松岡由紀町誌編纂室長、伊田正則教育長(後列右)=2日、伊仙町役場

伊仙町誌編纂(へんさん)室が2022~23年度にかけて制作した令和版伊仙町誌資料集②「徳之島上国日記集」がこのほど完成し、2日、松岡由紀編纂室長が町役場を訪れて大久保明町長と伊田正則教育長へ完成を報告した。大久保町長は「明治以前の徳之島についての史料であり、町民にとってかけがえのない財産になる」と喜んだ。

 

徳之島上国日記集は天保12(1841)年から明治3(1870)年にかけて徳之島から現在の県本土である薩摩藩へ向かった与人(島役人)5人の旅程を記録。藩に納める献上品や天候なども詳細に記録されており、与人の職務に関すること以外に当時の奄美群島の経済や流通の様子なども分かる貴重な史料とされている。同資料集では上段に活字化した上国日記を、下段に現代語訳や解説、図表などを掲載した。

 

日記集のうち、文久3(1863)年に書かれた道統(みちとう)上国日記では、徳之島から奄美大島を経由して県本土へ向かう旅程を詳細に記録。道統が道中で漂流したり、同年7月に開戦した薩英戦争の影響で献上品を紛失したりしたことが記されており、当時の船旅の困難や幕末期の激動を垣間見ることができる内容となっている。

 

資料集は町誌編纂事業の第2弾として制作。同事業では本編を含む全6部の完成を目指しており、今年度は昭和40(1965)年以降の広報をまとめた資料集第3弾の発行を予定している。

 

今回完成した資料集について松岡室長は「貴重な史料であるだけでなく、与人の個人的な行動なども残されていて読み物としても面白い」と語り、「制作の中で新しい知見も得られたので町誌本編の近世編にも反映していきたい」と展望を述べた。

 

同書はA4判、531ページ、価格は税込み2500円。計500部を発行し、島内の店舗や空港などの郷土本コーナーでも販売する。問い合わせは電話0997(86)4183町社会教育課町誌編纂室へ。